小説でもドラマでも映画でも「こういうの大好き!」というシチュエーションってあると思います。たとえば「住む世界の違う二人が偶然出会って恋に落ちる」とか「突如襲来したモンスターに名もなき一般市民が立ち向かう」とか。設定が好みだと、物語の面白さがグンと増しますよね。

私の場合、「子ども時代の出来事を大人になって振り返る」というシチュエーションが大好きです。映画化もされた『スタンド・バイ・ミー』のように、ノスタルジックな雰囲気が好きなんですよ。さらにイヤミス好きとしては、そこに謎解き要素が加われば言うことありません。そんな私の欲求を満たす一冊を見つけました。二〇一六年に第三回新潮ミステリー大賞を受賞した生馬直樹さん『夏をなくした少年たち』です。

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